ワケあり同士による華麗なる政略結婚




あいつの言う〝マコちゃん〟がまさか男だったなんて思いもしなかった。


男性恐怖症だったあいつがいくらゲイだとはいえ、男のこいつと親友だなんて。

そこである疑問が浮かぶ。












『あいつはずっと男性恐怖症を患っていた筈だ。それなのにお前には発作が起こらなかったということか、、、?』

「だってあの子にとって私は男のカテゴリーには入らないもの。、、幼い頃、体の弱かったあの子は学校にもまともに通えず屋敷に引きこもってたわ。私はあの子と近所でよくあの子の屋敷へ遊びに通ってた。その理由はウチにはないおままごとセットが沢山あったから。最初はそんな理由だったと思う。次第に親よりも何でも話せる間柄になって自分の性別に違和感を感じていた事を告白したわ。実の親にさえ受け入れてもらえなかったこんな私を美麗だけは笑って受け入れてくれた。その日からあの子は私にとって唯一の心の拠り所になって1番大事な子になった。」






自らの過去とあいつの過去を静かに語る男は、とても穏やかな表情をしていてあいつの事をどれだけ大事に思っているかがこちらまで伝わってくるようだった。



「、、気づいた時には完全に美麗に恋をしていた。でも私に絶大な信頼を寄せてくれるあの子を見て、、親友として側にいる事を選んだの。」

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