ワケあり同士による華麗なる政略結婚



時間も気にせず声を大にして叫べば、胸ぐらを掴んでいた手を振り払われた。





「あー怖い怖い。大事な顔に傷が入ったらどうしてくれる訳?てか深夜に大きな声出さないでくれる?美麗が寝てるのなら丁度いいから上がらせて貰うよ。貴方に話があるし、そっちも言いたい事があるみたいだし?」


そう言うと勝手に部屋の中へと入っていく男。






そしてソファーに腰掛けた。



「さぁ、まずは自己紹介からした方がいいのかしら?初めまして、霧島 誠です。貴方が何を勘違いしてるか分からないけど、あの子と男女の関係はないわ。だって私、ゲイだもの。でも美麗とは小学生からの仲だからきっと貴方なんかよりも美麗の事は知ってるわよ。」





口調が変わり、突然のカミングアウトに呆然と男を見つめる。

その男の名前を聞いて、あいつの口からよく出る名前を思い出した。












『もしかして、、アンタが〝マコちゃん〟か、、?』

「ええ、そうよ?あの子とは無二の親友よ?まぁ、、そう思ってるのはあの子だけだけど。今日だって久しぶりにディナーに誘って食事に行ったら車に携帯落としていくんだもの。昔から少し抜けてるとこあるのよね、美麗は。」







優しく微笑みながら目を伏せる男は、意味深な事を呟いた。

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