ワケあり同士による華麗なる政略結婚
そこで、ようやくこれをしていた人物が誰だったのかわかったのだ。
確かに共に生活はしていたが、気配がなさ過ぎてその存在を忘れてしまうほどだ。
浴室などの水回りは共同の筈だが使った形跡がないほど磨かれていて、玄関にも自分以外の靴はなく探して見れば棚にしまってあるのを見つけた。
冷蔵庫にも自分が好んで飲んでいるミネラルウォーターがストックされ、他にも食材が色々と買い足されていた。
気配は感じないのに、委託業者には無い気遣いを随所に感じた。
大企業の1人娘と聞けば、何も出来ないと決めつけていたが自分の中で思い込んでいた藤原美麗という女とのギャップに戸惑ってしまう。
私生活が快適だと仕事もはかどるというのは本当で、面白いくらいに仕事に集中できた。