ワケあり同士による華麗なる政略結婚
同居を始めて1週間。
仕事のカタがつき、珍しく早く帰宅した。
相変わらず玄関には自分の革靴しかなくリビングには気配も全く感じない為、帰宅しているのかと棚を開けるのが日課になっている。
中にヒールの低いパンプスが入っているのを見つけ、そっと棚を閉めた。
そしてそのまま〝妻〟の部屋へと向かった。
顔を見せれば文句を言われるかもしれないとずっと避けていたが、何故かこの日は自然と足が部屋へと向かわせる。
ノックをすれば悲鳴にも似た声が聞こえ、咄嗟にドアを開けると痛みに顔を歪めるあいつの姿が映って、手で押さえる腕を見ると真っ白な綺麗な肌が赤く腫れ上がっているのが目に入った。
それからはもう無我夢中であいつが男性恐怖症であることも忘れ、応急処置を施した。