大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
その言葉に満足した奏は、そのまま私にキスしてきた。
「…ち、こ、くするって」
「んー、もうちょっと」
唇を堪能した奏は、身体に疼いた熱を残してあっさりと私を解放する。
「遅刻するから、続きは今夜な」
「来なくて、いいから」
可愛くない事をまた言ってしまった。
それでも、奏は今夜もきっと、ここに戻って来るんだろう。
会社に行くと、更衣室で優希さんが着替えていた。
「おはようございます」
「おはよう」
「最近、お互い会えなかったよね。いろいろ話たい事もあるし、ゆっくり会える日ある?やっと会えたと思ったら待ち伏せされてたし…あの後どうなったのか聞きたいな」
あははは…
聞きたかったのはその話でしたか⁈
「私は、優希さんと臣さんのその後の話聞きたいです。奏は『知るか』って言ってちっとも取り合ってくれないから、気になってたんですよね」
「ふーん、奏さんと続いてるんだ!」
「付き合ってないですよ」
「今度、ゆっくりと詳しく聞こうかしらね。いつにする?」
「そうですね…」
優希さんは、臣さんからの許可を得て、週末、飲みに行く事になった。
私は、奏…いや、彼氏でもないし聞く必要ないよね。
そのまま、奏に言うのを忘れてしまっていた。