大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
話の方向が横にそれていき、尽きることのない甥っ子さんの爆笑ネタを聞きながら歩いていたので、あっという間に会社に着いていた。
私達は更衣室に着替えに寄る。
優希さんは、工場や現場にも出向くことがあるから毎回作業着に着替え仕事をするので、向かう先は一緒。
奏の話が逸れていた事で私は、筋肉痛の痛みの原因を忘れ、いつものように受付の制服に着替える為に服を脱いでしまった。
「ちょっと…菜生、それって」
私の体を凝視する優希さんが驚いている。
えっ⁈
胸についたキスマークを慌てて服で隠し背を向けたけど遅かった。
背中にもいくつかついているのだ。
あぜんとしながら私の体を観察し、ニヤッと笑う。
「どういう事かな?出会いなんてなかったんじゃないのかな⁈んっ?ななちゃん、説明してくれるよね!」
優希さんは、聞き出すまで逃してくれそうになかった。
つい、気が緩んでいたなんて、言い訳だ。
体中についているからとわかっていたから、下着はキャミソールの代わりに透けないタンクトップに変えて来たというのに、詰めが甘かった。
「えっとですね、長い話になりますよ。言わないとダメですか?見なかった事にしません?」