大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

わからない。

ただこれだけは言える。

まだ傷心の彼女を俺以外の他の男が慰めて抱くのか?と思うだけで、はらわたが煮えくりかえる。

誰に?

そんなこと決まってる!

菜生を抱く男にだ。

この感情に名前をつけたなら、嫉妬しかない。

菜生を抱くのは、俺だけでいい。

あいつに触れていいのは俺だけだ。
慰めてほしいなら、俺にしろ…

この感情を恋と呼ぶにはまだ曖昧で、ただわかるのは、誰にも渡せないという独占欲だけ…

菜生を狙う石黒を、引き離し連れ出そうとしたら、そこでやっと、菜生が俺を見てくれた事に浮かれたまま内庭に出た。

チクショー、キョトンとして、俺を見た表情がむちゃくちゃに可愛い!

やばい、今すぐにでも連れ出したて、めちゃくちゃになるまで抱きたいと思う側で、石黒の言葉にドス黒い感情に変わった。

「先輩、邪魔しないでくださいよ。せっかく手を繋ぐチャンスだったのに、また仲良くなるキッカケ作りしなきゃいけないじゃないですか!」

手なんて繋がせてたまるか。

菜生も、なんだよ。
こいつなんて眼中になかったくせに、ニコニコと笑い、手を取ろうとして…ムカつく。

俺に笑いかけてもくれなかったくせに…
俺が今日いなかったら、こいつに抱かれてるのか?
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