Ignition
それでも、ひとりで刺身を食べ続けていた優月は眉をひそめた。

「はあ? なんか矛盾してない?」
 いつも通りの軽い調子に聞こえても、目は真剣だ。説明を求められて、神長が再び口を開いた。 

「そもそも服に興味がないわけですから、表向きはファッションアプリでも、別の部分で潜在的に新井さんの興味を刺激する要素がないと。

俺はアポイントを取るときに一度電話で話したきりですが、まきさんの相手に対する印象をあわせれば、どんな人物かは想像ができます。

……言い方は悪いのですが、アプリを使うこと自体を義務のように感じさせてしまうと、自己満足になってしまうと言いますか」

「でもさー、新井さんにはこれからトレンド覚えたいっていう気持ちはあるわけじゃん? 最初は面倒でもさ、自然に使うようになるんじゃない?

俺にはこのアプリがちゃんとそういう使いやすさを考えて、設計されてるように思えるけどな」
 優月がすかさず坂巻の肩を持った。
< 100 / 110 >

この作品をシェア

pagetop