Ignition
■5

 アーケードが途切れ、強い日差しにさらされる。寝不足の頭がずきんと痛んで、新井は軽く頭を振った。このペースで行くと一体何時に買い物が終わるのだろう。

店の件数から時間を逆算する気もしないほど、先は果てしない。わざわざ巨大ショッピングモールを端から順に練り歩かなくとも、趣味に合う店だけを覗けば済むのではなかろうか。

口に出したい気持ちは山々であったが、美香の明るい表情を見ると何も言えずに、新井はただ山のような買い物袋を持たされたまま女性二人のあとを歩いていた。

 桐谷がどうやって美香を説得したのかは分からない。それでもこの場を取り持ってくれたことには感謝なくてはならない。

「ねえ、新井さん次どうする?」
桐谷は涼しい顔で振り向いた。

この流れで行くと、次の店は下着専門店である。そんな場所にのこのこ付いていけるわけがない。
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