Ignition
「俺だからともかく、誰にでもこういうものを見せるのは良くない」

 桐谷は一瞬目を丸くして、それからやけに神妙な様子で下着を袋にしまい、美香がしたのと同じように他の買い物袋の中に押し込んだ。

「それにしても、私まで結構買っちゃったなー」
桐谷は何事もなかったかのように、一度大きく伸びをした。

「やっぱり人と一緒に買い物にいくとついつい。『栞那さん、それ似合う!』とか美香ちゃんに言われて、普段着ないジャンルにまで手を出したりして。でもそういうのがまた、楽しいんですよね」

態度の変化が引っかかっていたが、あの気まずさを蒸し返したくはない。新井は桐谷の笑顔に釣られたかのように、口元に笑みを作る。

「疲れただろ、正直」
「ぜんぜん。あと八時間はいけそうです。仕事だとこうはいかないんですけど、不思議ですよねー」
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