Ignition
新井は一度駐車場に戻った。ハッチバックを開き、女ふたりが買った洋服の山を積み込んだ。
『忘れないでください、美香ちゃんの誕生日ですよ』
桐谷からメッセージが届く。
『だったらわざわざ俺を怒らせるな』そう打ちかけて、二十歳も歳の離れた部下に何を大人気ないことをしようとしているのだと、自分自身を窘める。
代わりに『悪かった、すぐ戻るよ』と返信をし、運転席に座った。
悪気はないのだ。三年近く一緒に仕事をしていれば、桐谷の口の悪さにも慣れっこだ。美香に言われるまでもなく、相手を思っての言葉だということも良くわかっている。
だからこそ、あれしきの事で腹を立ててしまった理由が、嫌でも思い当たってしまう。
「何だかなあ……」
煙草をくわえ、火を着ける。白い煙には溜め息が混じった。
『忘れないでください、美香ちゃんの誕生日ですよ』
桐谷からメッセージが届く。
『だったらわざわざ俺を怒らせるな』そう打ちかけて、二十歳も歳の離れた部下に何を大人気ないことをしようとしているのだと、自分自身を窘める。
代わりに『悪かった、すぐ戻るよ』と返信をし、運転席に座った。
悪気はないのだ。三年近く一緒に仕事をしていれば、桐谷の口の悪さにも慣れっこだ。美香に言われるまでもなく、相手を思っての言葉だということも良くわかっている。
だからこそ、あれしきの事で腹を立ててしまった理由が、嫌でも思い当たってしまう。
「何だかなあ……」
煙草をくわえ、火を着ける。白い煙には溜め息が混じった。