Ignition
「それでは、制作部に呼ばれているので」
「そっか。じゃあまたあとでな」
新井は坂巻の背中を軽く叩いて送り出した。それから会議室を後にする。書類を片手で持ち直して、スマートフォンのロックを解除した。朝見ていたショッピングサイトがそのまま開く。
眉間に皺を寄せたまま、女性向けファッションの人気ランキング上位から順番に視線を滑らせる。ピンクのプルトップオーバー、ワイドスリーブトップス、このリボン付きワンピースの丈はけしからん。新井は小さなモニターに目を落としたまま移動する。
下りボタンを押してすぐ、エレベーターが到着する。扉の先に先客がひとりいた。胸元の大きく開いたラベンダー色のカットソーとライトグレーの細身パンツ。
ファッション雑誌から抜け出してきたようなルックスの美人だが――
「ちょっと……なんか、新井さんから不思議なにおいが漂ってくるんですけど」
顔立ちと同様に言葉もきつい。顧客管理課の桐谷栞那はいかにも迷惑そうに眉をしかめ、片手で鼻と口を覆った。
「そっか。じゃあまたあとでな」
新井は坂巻の背中を軽く叩いて送り出した。それから会議室を後にする。書類を片手で持ち直して、スマートフォンのロックを解除した。朝見ていたショッピングサイトがそのまま開く。
眉間に皺を寄せたまま、女性向けファッションの人気ランキング上位から順番に視線を滑らせる。ピンクのプルトップオーバー、ワイドスリーブトップス、このリボン付きワンピースの丈はけしからん。新井は小さなモニターに目を落としたまま移動する。
下りボタンを押してすぐ、エレベーターが到着する。扉の先に先客がひとりいた。胸元の大きく開いたラベンダー色のカットソーとライトグレーの細身パンツ。
ファッション雑誌から抜け出してきたようなルックスの美人だが――
「ちょっと……なんか、新井さんから不思議なにおいが漂ってくるんですけど」
顔立ちと同様に言葉もきつい。顧客管理課の桐谷栞那はいかにも迷惑そうに眉をしかめ、片手で鼻と口を覆った。