Ignition
新井がなんとも言えない表情のまま運転席に戻ると、いつの間にか助手席に移動していた美香も同じく、表情を曇らせていた。
「本当はいつから起きてたんだ?」
美香はそれには答えずに、新井の服の肘のあたりを引っ張った。
「栞那さん、素敵な人だよ。私、お父さんには栞那さんみたいな人がいいと思うよ。だって、ああやって思ったことを何でも言ってくれる人だったら、探り合いしなくていいし」
「なんだ、知ったようなこと言って。シートベルトしなさい、帰るよ」
エンジンをかけて、しばらく待っても、美香はシートベルトすらしようとしない。新井は無理矢理ベルトを引っ張って留め具に差し込み、アクセルを踏んだ。
「……お父さん!」
美香に何を打ち明ければいいというのだろう。その糸口も掴めないというのに、桐谷のことばかりが頭を埋め尽くす。
「本当はいつから起きてたんだ?」
美香はそれには答えずに、新井の服の肘のあたりを引っ張った。
「栞那さん、素敵な人だよ。私、お父さんには栞那さんみたいな人がいいと思うよ。だって、ああやって思ったことを何でも言ってくれる人だったら、探り合いしなくていいし」
「なんだ、知ったようなこと言って。シートベルトしなさい、帰るよ」
エンジンをかけて、しばらく待っても、美香はシートベルトすらしようとしない。新井は無理矢理ベルトを引っ張って留め具に差し込み、アクセルを踏んだ。
「……お父さん!」
美香に何を打ち明ければいいというのだろう。その糸口も掴めないというのに、桐谷のことばかりが頭を埋め尽くす。