Ignition
思い返せば入社当時、桐谷を知るよりも前に、悪評が先走っていた。総務部は部署間を取り持つ仕事が多いこともあり、色々な社員の情報が集まる。運営部で研修中だった桐谷の評判は散々だった。
『きつく叱っても、反省するどころか怒鳴り返してくる新卒がいる』
運営部内で部下としての配属を渋る声があまりにも多く、興味はあった。どんな獰猛な女かとも思ったが、間口の狭いこの会社にそんな人間は入社できないはずである。
新井は自ら願って、桐谷の配属面談に立ち会った。人事部長と話しだしてすぐ、桐谷は人一倍頭の回転が速いのだと気が付いた。
要は真面目で、人が頭の中で結論着ける前に正論をかざすから、相手のプライドをへし折ってしまうのだ。
「感情を押さえ込み、周りに協調させていくのが社会人としてのマナーです」と注意を受けると、「意見を出しても頭から押さえ込むなら訊いてくれない方がマシだし、そこに協調性を求めるなら、初めからそういう人だけ採用してください」ときた。
更には「四回も面接して相手がどんな人間かすらわからないなんて、人を見る目がなさすぎます」と相手構わず反論するのを聞いて、新井は腹がよじれるほど笑った。
新井は、桐谷を総務部で引き受けることを決めた。
『きつく叱っても、反省するどころか怒鳴り返してくる新卒がいる』
運営部内で部下としての配属を渋る声があまりにも多く、興味はあった。どんな獰猛な女かとも思ったが、間口の狭いこの会社にそんな人間は入社できないはずである。
新井は自ら願って、桐谷の配属面談に立ち会った。人事部長と話しだしてすぐ、桐谷は人一倍頭の回転が速いのだと気が付いた。
要は真面目で、人が頭の中で結論着ける前に正論をかざすから、相手のプライドをへし折ってしまうのだ。
「感情を押さえ込み、周りに協調させていくのが社会人としてのマナーです」と注意を受けると、「意見を出しても頭から押さえ込むなら訊いてくれない方がマシだし、そこに協調性を求めるなら、初めからそういう人だけ採用してください」ときた。
更には「四回も面接して相手がどんな人間かすらわからないなんて、人を見る目がなさすぎます」と相手構わず反論するのを聞いて、新井は腹がよじれるほど笑った。
新井は、桐谷を総務部で引き受けることを決めた。