Ignition
たったそれだけの仕草ですら、言葉以上に愛情を感じさせる。じわじわと伝わってくる服越しの体温と、身体の奥底から沸き起こる熱にじっとりと汗が滲んでいく。

「……もう少しこのままでいてもいい?」

 返事の代わりに、細い腰に腕を回した。頬が肩に下りてくる。硬くなった下腹の上に桐谷の身体が重なって、もはやこの劣情も誤魔化しようがない。桐谷の左手が下肢を滑って、熱く猛った部分を触れてくる。思わず吐息が漏れた。

「新井さん、苦しい?」
「ああ、死ぬほど」

「私としたい?」
「ああ、それ以外考えられないくらいに」

「……それは、好きとは別の気持ち?」わずかに声が震える。

「桐谷、気持ちがなかったら俺はここに来ていないよ。美香に何を言われようとも」
 したいようにさせながらも、新井は桐谷の頭にぽんと手を乗せた。
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