Ignition
「思っていることを全部正直に言う。だから怒らないで聞いてくれ」
あらかじめ釘を刺してから、新井は言葉を継いだ。
「実は、俺は今まで一度も桐谷を恋愛対象として見たことがなかった。そりゃあ、美人だとかスタイルがいいと思ったことはあったが、それはそれだ。
意識したのだって今日が初めてだったが、それだって、普段と違う格好だからかもしれないとか、休日に会っているせいかもしれないとか、美香のことを気にかけてくれたからかもしれないとか。……全部気の迷いかもしれないと思ったくらいで」
抗議の声を上げる代わりに、胸にどん、と右の拳が叩きつけられた。新井はそれを止めることもせずに、桐谷の頭を優しく二度、三度なでる。
「俺は一度離婚してる。仕事はさておき、男として魅力に欠けているのは嫌と言うほど分かってる。三年前ですらそうだ。今はお前や美香の言うとおりもっと酷い。
自分の気持ちすらまともに分からない上に、自信もない状態で、あんな風に想いを寄せられたら怖くなった。桐谷は俺にとって魅力的で、一旦近付けば簡単に溺れるのがわかっているだけに」
あらかじめ釘を刺してから、新井は言葉を継いだ。
「実は、俺は今まで一度も桐谷を恋愛対象として見たことがなかった。そりゃあ、美人だとかスタイルがいいと思ったことはあったが、それはそれだ。
意識したのだって今日が初めてだったが、それだって、普段と違う格好だからかもしれないとか、休日に会っているせいかもしれないとか、美香のことを気にかけてくれたからかもしれないとか。……全部気の迷いかもしれないと思ったくらいで」
抗議の声を上げる代わりに、胸にどん、と右の拳が叩きつけられた。新井はそれを止めることもせずに、桐谷の頭を優しく二度、三度なでる。
「俺は一度離婚してる。仕事はさておき、男として魅力に欠けているのは嫌と言うほど分かってる。三年前ですらそうだ。今はお前や美香の言うとおりもっと酷い。
自分の気持ちすらまともに分からない上に、自信もない状態で、あんな風に想いを寄せられたら怖くなった。桐谷は俺にとって魅力的で、一旦近付けば簡単に溺れるのがわかっているだけに」