Ignition
「いや。任せるから頼んどいてくれる? 俺はまだこの間の経営会議の資料すらまとめてないんだ」

「やばいじゃないですか」

「だからこれからやる。……そういや、さっきの何?」
 新井は桐谷の真後ろで足を止めた。桐谷は面倒臭そうに振り返った。

「はい?」
「エレベーターの中で言った『あー……』っていう溜め息交じりの言葉の理由が知りたい」

「じゃあそれはランチで。オーガニックライフ行きましょう、新井さんのおごりね」

 一瞬悩んだ後に愛嬌よく微笑んで、それから桐谷は新井の返事も待たずに電卓を叩き始めた。
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