Ignition
硬い表情のまま「わかりました」と、視線を落とす。坂巻の思考は既に始まっている。

「……少し時間が必要なものでもいいですか」
「なんだ、もう考えたのか」

「僕に出来ることはそう多くはないので。もう少し詰めてから企画書で出します」
「企画書か。本格的な遊びになりそうだな。……面白そうだから部内で回して採決とろうか」

 任せておけば、想像を上回るとんでもない案を持ってくるに違いない。控えめで堅実な性格と対極の思い切りの良さが坂巻の魅力で、新井はその部分を誰よりも高く評価している。

「週明けには出せると思います」
「ああ、楽しみにしてる」

 会話がちょうどひと段落したところで、もう食事が運ばれてきた。木のボウルに入った彩り豊かなサラダ。生姜の香りがする具沢山のスープ。

とにかく野菜ばかりのところに、小麦胚芽入りの小さなブレッド。あっという間に食べ終わってしまいそうな量だが、これからはこれが日常になるのかもしれない。
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