Ignition
「俺はな、これから少しダイエットをしようと思う」
「急にどうしたんですか」
「最近腹がまずい。食事だけで腹の浮き輪が外れるかはわからんが、俺もまだ若いやつらには負けていられないな、と……笑うな、坂巻」
「すみません」
俯いたまま口元を押さえて堪えているが、目が笑っている。
「お前もあと二十年すればどうせ同じ悩みで苦しむんだからな。俺だって今じゃ昔は痩せてたんだ。お前ほどじゃないにせよ」
「桐谷さんですか」
坂巻の口から突然沸いて出た言葉を深読みしすぎて、新井の思考が飛んだ。そこに生じた妙な間に坂巻まで黙り込んだ。
「……なんだよ」
何を言われたわけでもないのに顔が熱くなるから始末が悪い。
「いえ、なにも」
坂巻はそれを見なかったことにしようとしてくれているのか、ふっと目をそらしてスプーンを持った。
「急にどうしたんですか」
「最近腹がまずい。食事だけで腹の浮き輪が外れるかはわからんが、俺もまだ若いやつらには負けていられないな、と……笑うな、坂巻」
「すみません」
俯いたまま口元を押さえて堪えているが、目が笑っている。
「お前もあと二十年すればどうせ同じ悩みで苦しむんだからな。俺だって今じゃ昔は痩せてたんだ。お前ほどじゃないにせよ」
「桐谷さんですか」
坂巻の口から突然沸いて出た言葉を深読みしすぎて、新井の思考が飛んだ。そこに生じた妙な間に坂巻まで黙り込んだ。
「……なんだよ」
何を言われたわけでもないのに顔が熱くなるから始末が悪い。
「いえ、なにも」
坂巻はそれを見なかったことにしようとしてくれているのか、ふっと目をそらしてスプーンを持った。