Ignition
「ファッション系のアプリですか」

 神長はざっと企画書に目通しして、そのまま詳細資料に入る。友人とはいえ、やはりこの瞬間は緊張する。

「こんな小規模開発はダメかな、個人依頼だし」
「いえ、そこは大丈夫なんですが」

 何か問題でもあったのか、神長は渋い顔だ。読み終わった資料をテーブルの上に置き、しばらく黙り込んだ。坂巻はおそるおそる訊いた。

「何かまずいところがあったかな?」
「気の利いたアプリだと思います」

 そうは言いながらも神長は納得していないような口調である。坂巻は意見を求めるように優月に視線をやる。優月はただ肩をすくめた。

「俺は良いと思うけどね。コーディネートアプリは既存でもたくさんあるけど、提携先の服を買うことが前提だったりするし。

あとは着まわしって言うと、服管理アプリか、ファッション雑誌みたいに見て参考にするやつばっかじゃない。

人のクローゼット覗いて、身近な人がいいなと思う組み合わせを提案できるのって、ありそうでないよねえ、まきちゃん」
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