【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「僕達も、君を守ると誓った」
「龍神ではないが、人間でもない。……龍翔、黎明という名は、捨てる。代わりに、翠蓮がくれた名前を、"綺宵”(キショウ)と、"明宵”(メイショウ)と呼べ」
「お前が王を続ける限り、守ってやる」
少年二人は「王子のこともあるからね」と言って。
「あーあ。素直じゃないなぁ。―陛下、私も貴方に仕えます。数百年しか生きてない、仙人ですが……お役に立てれば」
「……飛龍、と、言ったか」
「はい」
この男もまた、綺麗で。
柔和な笑みを浮かべた彼が一歩、後ろに下がると。
「儂らは飛燕、飛雪、白亜じゃ」
と、飛燕たちが自己紹介してきた。
「白亜じゃない。……白華(ハクカ)」
そんな飛燕の言葉に途中で文句を言った白華は、
「水の神だ。飛燕が土の、そして、飛雪が木……妙な、あの皇子を抱いているのは紫艶で、金」
「五行説に基づいて……そうか。ならば、火は?」
すると、白華は
「さあ?……彩苑を失った悲しみで、長いこと、姿は見ていない」
と、あっさり。
「けれど、生きてはいるよ。だって、あいつがいなければ、この国は既に焼け滅んでいる」
国に戦火が広がる度、止めているのは彼だと。