【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「……で、お前は翠蓮が好きなのか」
「……」
祥基が畳み掛けるように尋ねるけれど、黎祥は微笑するだけ。
そして、
「…………祥基、少し、出ないか?」
と、祥基を誘い出す。
「ああ、いいけどよ。翠蓮をどうす……」
「―私が見とくから、行ってきて。祥基」
祥基の声を遮るように、現れたのは結凛。
「お前、いつからそこに……」
「黎祥さんが薬を届けに来てくれたんだけど、翠蓮が作ったって言うには有り得ない調剤だったから、何かあったのかと思って。翠蓮と祥基の会話は裏で聞いてたんだけど……祥基、翠蓮の"姉”としてお願いするわ。黎祥さんと話をしてきて」
結凛の強い瞳は、微かな怒りが滲んでて。
「……わかった」
恐らく、結凛も黎祥のことについて思うところがあるのだろうと、祥基は思った。
「じゃあ、行くぞ。黎祥」
「……ああ」
大人しく、後をついてくる黎祥。
その表情は、憂いに満ちていた。