【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「何を犠牲にしても、そばにいてくれた皇后がおっても、彼は信じられなかった」


円三美―円皇后。


麟麗様と鈴華様の母君で、先帝を深く愛し、先帝の死んだ日に自らの命を絶った人。


先帝への愛を貫くために、子供を切り捨てた彼女のことは色んなところで噂を聞くけれど、どれも、良い噂ではなくて。


「たくさんの古参が殺されたおかげで、色んな噂が飛び回り、今や真実を知るものは無い―……」


「真実、ですか?」


柳太后は遠い目をして、一度、目を閉じる。


「翠蓮、勇成が黎祥によって弑された日、共に亡くなっていた女がおったであろう」


「え……えっと、それは……異世界よりの?」


「そう。彼女は自らの身を守るために祥星様の妃となった。一度だけの夜伽をして、後宮の人々とも仲良くして―……優しく聡明であった彼女はこの国の作りをよく理解できないまま、妃として、身を置いていた。人々の体調を慮り、自らの世界の術であるという、医術を使ってな」


「!」


「……そなたに頼み事をされた時、私も犯人がわかってしまった」


柳太后は、息をつく。


悲しそうに、目を揺らして。


「佳音さんという、女性が……先帝の部屋で死んでいて。その翌日、内院で見つかった円皇后の遺体」


「……佳音には、一人娘がいた」


「でも、行方不明になってしまったのでしょう?それも、"不自然に”」


「そうじゃ」


「それなら、犯人は間違いなく、あの人」


「……そうじゃな」


わかりやすいって言うのも、考えものだ。


あの人に至っては、別の証拠まで揃ってる。


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