その悪魔、制御不能につき



そうしてどのぐらいの時間が過ぎたのかはわからないけど、緊張状態で普段よりも時間が長く感じたのは確かだと思う。扉の開く音と一緒にコツコツとヒールの音が部屋に響く。



「首尾よくいったようね」


「報酬は、」


「ふん、後で払うわよ。うるさいわねっ、雇われた分際で!」



どことなくヒステリックな声に耳が痛い。やっぱり黒幕は女、ということは間違いなく社長か都築さん関連…ますますこの女があの社長たちに付き纏ってる女だという可能性が高くなったわね。


そっと目を開けてみれば意外にも眩しくて何度か瞬きをする。目に入ったのは少し古い…寂れてると言えばいいのだろうか。まぁいかにもという感じの倉庫で、男が3人と女が1人。


男の方は荒事に慣れていそうな雰囲気があって、会話からしてもちょっと危ない感じの人たちだろう。女の方は…なんていうか、うん。少し痛んだ金に近い明るい茶色の髪にブランド物の服とアクセサリーに濃い化粧。


美人といえば美人の部類に入ると言えなくもないが、端的に言ってお金を持っていそうなことはわかるけと上品さが足りないので成金っぽく見える。いや、成金を悪く言うわけではないけど、勘違いしちゃってますみたいな格好が正直イタい。


普段からさりげなく高級でさりげなく上に立つ者の風格やら気品さやらを醸し出している社長と都築さんを見ていると…うん、比べることすら烏滸がましいわ。



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