その悪魔、制御不能につき
こんな人に付きまとわれてたのか、と憐れみの思いを社長たちに向けていると女の方と目があって、途端睨みつけられた。その目に浮かぶのは憎悪や嫉妬。初めてというわけではないけど、強すぎる負の感情は向けられるだけで精神的にくるものがある。
「ふん、無様な格好。汚らしい…こんな女が鷹斗さんの婚約者だなんて!」
「違います」
「嘘をおっしゃい!調べはついてるのよ!!」
つい敬語になるぐらいの事態に遭遇した。漫画とかなら怒りで髪が逆立っているんじゃないかと思えるぐらい怒り狂っているところ悪いが本当に違う。付き合っているだけで婚約者じゃないから。
そう思ってから思わず苦い顔になってしまった。まさかこれ、外堀埋められてるんじゃないでしょうね…だとしたら多分社長じゃなくて都築さんの仕業ね。なんとなくだけど社長は真っ向勝負って感じだし、そういう裏方は全部都築さんっぽい。
「まぁどちらでもいいわ。これからあなたはそうも言ってられないだろうし!」
勝手に怒って罵倒している女を冷めた目で見ていれば突然心底面白くて仕方がないという風に笑う姿に病気なの?病院行った方がいいんじゃない?と言いたくなった。情緒不安定にもほどがあるだろう。
ニタァ、とした女の顔は人を傷つけることに愉悦を感じる人間のもので、側から見てとても醜い。ただでさえ品位なんて感じないのにさらに外道っぽいわ。
男に指示してカメラを用意するところも…なんとなくこの先の展開が読めるのはドラマや漫画の見過ぎのせいかしら。嫉妬に狂った女が女にしようとすることなんて大体想像働かせればわかるけど。