あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「いやいや、ありえないでしょ。私も好きな人じゃないと付き合うとか無理だから」

「ーー純だよねえ、意外と。で、今好きな人はいるんだっけ」

「いない!」

「じゃあ彼氏なんてできるわけないじゃん」


私が冷酷に真実を突きつけると、美結は口を尖らせた。


「どこかに優しくて包容力があって大人なイケメンいないの!? それ以外の人に告られても意味なーい!」

「……はあ」


高校生男子にはなかなか存在していないような無茶な条件を叫ぶ美結に、私は苦笑をうかべる。


「告られた機会のあまりない私には対する嫌味かよ、美結」

「えー、でもなんかこの前さー、知らない男に電話番号もらってたじゃん。ほら、あんたの家がやってるお店で」

「ん……? ああ。そういえば」


現在、私が住んでいる叔母(夏美という名前でなっちゃんと呼んでいる)の家はパン屋兼住居だ。
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