セカンド・プライオリティ
嬉しい気持ちと、寂しい気持ち。
会いたい気持ちと、彼の仕事の邪魔にはなりたくない気持ち。

胸の中でせめぎ合うのは、統一性のない相反した気持ちばかりで。
だけど元を辿れば、心の中に生まれる疑問はいつも同じなのだといい加減自分でも気付いていた。

…あぁ、やめよう。

何がベストアンサーなのかわからない。
考えれば考えるほど、頭の中はかき乱されて。
たった一つの答えすら出せない自分が、ただただ情けなくなってくる。

「…やめよう」

全ての思いを振り切るように、今度は言葉にして吐き出した。
どんどん深みにハマっていくような思考から無理やり自分を救い出すみたいに。

結局そのまま完全に覚醒してしまった頭は、再び眠りにつくことを受け入れてはくれなくて。
仕方なく起き上がって、リビングに向かった。

「さむ…」
薄い上着を羽織っただけではまだ拭いきれなかった肌寒さを緩和させようと、水を入れたポットの電源を入れる。
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