セカンド・プライオリティ
「次カットの準備OKです」
「はい」
伝えにきてくれたスタッフさんの声に顔を引き締め直して、向かいに座る大輔さんと目線を合わせた。
なんでもない会話を交わしながら、テーブルの上に並べられた撮影用の料理に手を伸ばす。
「幸せそうな恋人同士って、こんな感じかな?」
強引でなく、あくまで自然に伸びてきた大輔さんの手のひらが私の右手の甲に添えられた。
「っ!」
その瞬間、涼くんと手が重なったときの光景が脳裏を過ぎる。
「美己」
『美己、ほんと美味しそうに食べるよな』
『だって涼くんの料理ほんっとーに美味しいんだもん!』
名前を呼ばれた瞬間、涼くんの優しい笑顔が頭の中いっぱいに広がった。
「…ひどいなあ。今絶対俺のこと考えてないでしょ」
私にしか聞こえない声で呟いた大輔さんの声にハッとして顔をあげる。
「…!ごめんなさ…」
「ついてるよ」
思わず謝ろうと開きかけた唇を遮るように、伸びてきた手が優しく私の口元を拭った。
「悔しいけど、その顔すっごく可愛いからそのままで。続けよう」
「っ、はい…」
そうして終始リードしてくれる大輔さんに助けられながら、その日の撮影は順調に進んでいったのだった。
「はい」
伝えにきてくれたスタッフさんの声に顔を引き締め直して、向かいに座る大輔さんと目線を合わせた。
なんでもない会話を交わしながら、テーブルの上に並べられた撮影用の料理に手を伸ばす。
「幸せそうな恋人同士って、こんな感じかな?」
強引でなく、あくまで自然に伸びてきた大輔さんの手のひらが私の右手の甲に添えられた。
「っ!」
その瞬間、涼くんと手が重なったときの光景が脳裏を過ぎる。
「美己」
『美己、ほんと美味しそうに食べるよな』
『だって涼くんの料理ほんっとーに美味しいんだもん!』
名前を呼ばれた瞬間、涼くんの優しい笑顔が頭の中いっぱいに広がった。
「…ひどいなあ。今絶対俺のこと考えてないでしょ」
私にしか聞こえない声で呟いた大輔さんの声にハッとして顔をあげる。
「…!ごめんなさ…」
「ついてるよ」
思わず謝ろうと開きかけた唇を遮るように、伸びてきた手が優しく私の口元を拭った。
「悔しいけど、その顔すっごく可愛いからそのままで。続けよう」
「っ、はい…」
そうして終始リードしてくれる大輔さんに助けられながら、その日の撮影は順調に進んでいったのだった。