セカンド・プライオリティ

「1週間も会ってないってことじゃんそれ!久々だろ!」
「お前は俺の彼女か」
「いや、さすがに美己ちゃんには敵わない」
「当たり前だ」

しゅんとしたように肩を落として見せる今のコイツには、俺よりも年上である面影はどこにもない。普段ピシッとしてるときは十分頼りになるし、心から信頼もしている。

「でも男の中だったら、俺りょーちゃんの一番な自信あるよ」
「なんだそれ」

そして颯は、めちゃくちゃにモテる。サロンモデルか何かをしていた学生の頃には、そっちの業界ではそれなりに知名度もあったらしい。

「ま、俺も自信あるけどな」
「え、今日はデレ期?もう、りょーちゃんだいすき」
「…調子に乗るな」
「ツンデレ!」

ただ生粋の人タラシというかなんというか。
まあそんなところが、憎めないところではあるんだけど。


「サイド、オムレツでいいの」
「さすがハニー。いや、ダーリン?」
「どっちでもない」
「じゃあハニーで」

カウンターに座る颯が嬉しそうに笑う度、束ねるのには長さが足りなかったのであろう前髪が揺れる。いつからか颯は少し長めの長髪で。全ての髪を後ろで一つに束ねているのが彼の姿として、いつの間にか定着していた。
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