アーティスティックな男の子。





一呼吸置いて、


『…私は作曲の天才じゃん?』


「ええ、それは認めます。」


わあい即答。


『…柊は歌の素質はあるけど歌の天才では無いじゃん?』


「…ムカつきますが、まあその通りですね。」


『でも、柊は努力の天才なんだよ。人よりも1000倍くらい努力してるような、私にとってはバケモンみたいな努力の天才。』


「何だか貶されてる気がするのですが。」


『…作曲の天才と努力の天才が混じりあったら、何か凄くなりそうじゃん?』


「…つまり、貴女の中ではもう私との道筋が立っていると。」


『そ。』


「…じゃあ作曲にてこずってると言うのは?」


『あながち間違いじゃないけど…。』


「…ハァ…。」


『ね!いいでしょ!天才×天才、成績上位者同士!これまでに無いくらい良い作品出来そうでしょ?』


笑顔で言い放った私。


「…それ去年も同じこと言っていましたよ。」


『え?そうだっけ?』


忘れたよ、そんな昔なこと。


「…ハァ…というか、私自身もその発表会に出なければなりませんので、時間も限られます。やはり辞めておいた方が良いと思うのですが。」


…しょうがない。


『…分かった、最後の手段だ。』


「…ハイ?」


『…秋月柊君にかの有名な音楽バンド、【CLoosED】の一番最初の曲の作曲初版本一冊をプレゼントしよう。』


柊が私のことをよく知ってるように、私も柊のことをよく知ってる。


つまり…柊の好きな物ほ把握済さっ☆


「っ!!!?そ、それは…!というか何故貴方がそれを…!!」


『まあ伝手というか何というか。…で?どうする?する?しない??』


これで揺られないファンなんていない!!


「くっ……分かりました、いいでしょう。」


『わーい!!!!!コレで今回も最優秀賞間違いなしだな☆』


…チョロいな。


発表会にももちろん賞はあって、


去年も柊と一緒に最優秀新人賞取った。


『今年は二年連続の最優秀を目指す。サボってた分、ここで取り返さないとね?』


「大分重要ですね、ソレ。大方そっちの方向も私を誘った理由かなとは思いましたが。」


『さっすが柊。私のことよく分かってるぅ。』


「分かりたくもないです。」


とか言って、私の思考丸読みだったくせに。





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