アーティスティックな男の子。
『んー…何か違うんだよね…てか、つまんない。刺激が無い。』
「…アンタ、何やってんの。」
『あれ、ハル君じゃん。どしたの?』
「俺はメイクの資料取りに。」
『…ついでに歌ってく?』
「遠慮する。」
『そこをなんとか。』
「嫌だ。アンタが自分の曲歌えばいいんだろ。」
『いや、それじゃ意味無いんだよね。』
「…とにかく、嫌なものは嫌だ。どうしても歌って欲しいなら一週間、俺のメイク練習の相手しろよ。」
『ソレハゼッタイヤダ。』
「じゃ、まあ頑張れ。」
『ううう…クソ、断られたの零君で二回目なんだけど…。…あ、そうだ!重要な奴忘れてた!!』
アイツに相手してもらお!!!!!!
『ということで手伝って?』
「…どうしてそうなるんですか、ゆきさん。」
突然(嘘)現れた(嘘)長身のイケメン(これはホント)!!
彼は秋月 柊 アキヅキ シュウ。
音楽学科のヴォーカルコース。
もちろん同級生でっす。
「滅多に教室に来ない貴方がわざわざ何をしに来たかと思ったら…また作曲の相手をしろですか…。」
滅多に教室に行かない、葉山ゆきです。
だって4階なんだもん。
って、そうじゃなくて!!!!
『お願い!柊!!一生のお願い!!』
「それ何回目ですか。一年前から使ってましたよ、それ。」
『おーねーがーい!!もう柊しかいないの!!みんな去年のことで作曲中は避けまくるし、秋も手伝ってくれないし、今絶賛詰まりまくり中だし!』
「去年のことを忘れてませんか??」
『ぐ…。』
「偶然図書館にいて偶然貴女の目の前を通り過ぎようとしたら腕を掴まれ2時間以上拘束された挙句、二週間以上付き纏われた身にもなってください。」
『その節は!大ッ変!大ッ変お世話になりました!!でも今回も大変お世話になります!!』
「…こちらにも事情というモノがあるんです。」
『だぁぁってぇぇ…柊の歌は結構…イヤかなりのインスピレーションが湧くんだもん!マジであの時インスピレーションの花火が打ち上がってたもん!』
「嬉しいような嬉しくないような。…というか、本音はどうなんですか、本音は。」
『…言っていいの…?』
「ええ。貴女のことはだいたい分かりきってるので、何言われても大丈夫だと思います。」