君と見つける、恋の思い出
かなり気まずい空気が流れ、静寂に支配されていく。
いたたまれなくなってきたのか、叶花は俺と結斗さんの顔を交互に見た。
「……この際だから言わせてもらう」
この重い空気の中、口を開いたのは結斗さんだった。
割と小さめの声だったが、静まりかえった部屋だからしっかりと耳に届いた。
低い声で、真面目に言う……今まで秘密にしてきたこと。
一体……
「僕は、蓮くんが嫌いだ」
ドストレートに、そう言われた。
……今の流れと関係あったか?
嫌ってくれるのは一向に構わないが、どうしてそういう流れになったのか、さっぱり。
叶花を見ると、目を見開いていた。
「お兄ちゃん、ずっとそう思ってたの? 蓮くんが嫌いって」
あー……
そっちだったか。
結斗さんは歯止めが利かないからだろうが、思ってたことを全部言い出した。
「僕がどれだけ距離を縮めようとしても、いつも愛想のない顔。それどころか、長い付き合いの叶花ちゃんにも、同じような顔を向けていた」
「……それが蓮くんだよ」
その通りだが、心にグサッとなにかが刺さった感じがする。
「それに、お見舞いに来ても、叶花ちゃんと話さないばかりか、一人で読書。なにをしに来てるんだろうって、思ってた」