君と見つける、恋の思い出


だけど、その日のうちに叶花が目を覚ますことはなかった。



「蓮、帰ろう?」



泊まる気でいたが、母さんがやって来て、そんなことを言われた。



「俺は……」


「不安で叶花ちゃんの傍にいてあげたいってのはわかるけど、少しは休まないと、今度は蓮が倒れるよ?」



それは困るってことで、母さんの車に乗って自宅に戻った。


今日は晩飯の用意ができてなくて、コンビニ弁当になった。



母さんとの久々なご飯ってのに、俺は会話をする気になれなかった。



「蓮、携帯鳴ってるよ」



母さんに言われて、スマホを見た。


こっこからだった。



『さくら、どうでした?』



そういえば、連絡くれって言われてたっけ。



『目を覚まさなかった』



今の俺にはこれが限界だった。



そのメールを送って数秒後、電話がかかってきた。



「出ないの?」


「……母さん、出て。こっこからで、たぶん叶花のこと聞いてくると思うから」
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