君と見つける、恋の思い出


母さんにスマホを渡すと、ゴミを捨てて部屋にこもった。



母さんの話を、聞きたくなかった。


叶花が今、どんな状態なのかを知りたくなかった。



無音だと母さんの話し声が聞こえてきそうで、音楽を流した。


だが、ただ音楽を聴くなんてことは出来なくて、今日こっこが撮っていた写真を現像することにした。



印刷、そして三曲目が終わるころに、ノックの音がした。



俺は写真を勉強机の上に置き、音楽を止めてドアを開けた。



「こっこちゃんにちゃんと説明したよ。明日、お見舞いに行くって」


「わかった。ありがとう」



スマホを返してもらうと、母さんは俺の頭を撫でた。



「きっと、明日目を覚ましてくれるよ」



そして軽く叩かれた。



全部見透かされてるみたいだった。



……まあ親だし、当然といえば当然なのかもしれないけど。



「それじゃ、おやすみ、蓮」


「ああ、おやすみ」



そして長い一日を終えた。
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