君と見つける、恋の思い出
思い当たる節が、たくさんある。
叶花がそんなふうに思って、動いてくれてたと知り、俺の頬に一筋の涙が流れた。
「……どうしてそんな話を、今?」
すると、理香子さんは膝の上に置いていた、重ねられた手を見つめた。
「叶花ちゃん、もう長くないの」
嘘、だ……
そんなわけ……
「もともと二十歳まで生きられないって言われてて、去年の今ごろ、あと一年だって……」
去年の時点で、あと一年……
もう僅かしか残されてないじゃないか。
「どうして言わなかったんだよ……」
なによりも大事なこと。
一番とは言わないが、ずっと隣にいた俺に、どうして隠してたんだ。
「蓮くん、聞いてたらどうしてた?」
俺の独り言に、理香子さんがそう質問を投げてきた。
もちろん、叶花といられる時間をもっと大切にした。
叶花がしてほしいということを、嫌と言わずにやった。
「そういうことじゃないかな」