君と見つける、恋の思い出
同級生
その瞬間強い風が吹き、桜の花びらが舞ったせいで、相手の顔は見えなかった。
……だが、十中八九あいつだ。
俺を呼んだあいつは、走って階段を降りてきていた。
「お前、こんなとこでなにしてんだ? て、カメラ! 蓮、美術部にでも入部」
「してない。つーか、うるさい」
俺はそいつの言葉にわざと被せ、黙らせた。
ったく……
どうしてこううるさいやつしか周りにいないんだ。
「そう照れんなよ。何事にも興味なかった蓮が、美術部」
そいつは肘で俺を突いてきた。
それもまた腹が立ち、もう一度遮った。
「入ってないって言ってるだろ。しつこいぞ」
「……わざわざ俺のセリフに被せてくんなよ」
あいにく、お前と会話する気がないんだ。
「ところで蓮。今暇か?」
「忙しい」
もし暇だったとしても、お前に付き合う気もないが。
俺は階段を登り、家への道を歩く。
「そう言わずに、ちょっと付き合ってくれよ。友達だろ?」
後をついて来ていたそいつに、肩を組まれた。
鬱陶しい。