君と見つける、恋の思い出
「でね、蓮くん。私の勉強、見なくていいからね」
「自力でどうにかなるのか?」
「するの! これ以上蓮くんに頼れない」
……なにを今さら。
「そうだ! 写真は?」
……話があっちに行ったりこっちに行ったり。
子供か。
なんて思いながら、写真を渡す。
「……蓮くん」
なんだ、その声。
俺はちゃんと撮ってきたはず。
確認もした。
怒られるようなことは……
「また上手くなってる! なにこの写真!」
叶花が興奮して見せてきたのは、桜を見上げ、風が吹いたときに撮った写真。
……わかりにくいことをしてくれるな。
「自慢してきていい!?」
「好きにすれば」
「やったあ!」
そして叶花は写真を持って、病室を出た。
これは……母さんに怒られるかもしれないな。
まあ別にいいか。
自分で学校に行けなくなるようなことは、しないだろうし。
そういうわけで、俺はいつも通り読書を始めた。