君と見つける、恋の思い出


「でね、蓮くん。私の勉強、見なくていいからね」


「自力でどうにかなるのか?」


「するの! これ以上蓮くんに頼れない」



……なにを今さら。



「そうだ! 写真は?」



……話があっちに行ったりこっちに行ったり。


子供か。



なんて思いながら、写真を渡す。



「……蓮くん」



なんだ、その声。


俺はちゃんと撮ってきたはず。


確認もした。



怒られるようなことは……



「また上手くなってる! なにこの写真!」



叶花が興奮して見せてきたのは、桜を見上げ、風が吹いたときに撮った写真。



……わかりにくいことをしてくれるな。



「自慢してきていい!?」


「好きにすれば」


「やったあ!」



そして叶花は写真を持って、病室を出た。



これは……母さんに怒られるかもしれないな。


まあ別にいいか。



自分で学校に行けなくなるようなことは、しないだろうし。



そういうわけで、俺はいつも通り読書を始めた。
< 45 / 240 >

この作品をシェア

pagetop