君と見つける、恋の思い出


早く帰りたかった俺は、会話を終わらせようとした。



「あ、待って! あの、美術部、興味ないかな……?」



美術部か。


そう言えば、美術部の中に写真を撮る生徒がいたな。



……だから、好きで撮ってるわけじゃないんだ。


部活までやってられない。



「勧誘なら、一年にしたら?」


「そう、だね……引き止めてごめんね。また明日」



彼女はそう言って、校舎に戻っていった。



……なんだったんだ。


まあいい。


解放されたし、帰るか。



そしてその日の夕方、夕飯を作ろうと部屋を出てリビングに行くと、叶花がソファーでくつろいでいた。



「……なにしてんの」


「ご飯食べに来たの! それでね、泊まっていいって!」



それは理香子さんと母さん、両方の許可が出たってことか。



「友達の家にお泊まり、してみたかったの!」



あー、はいはい。


そういうことね。



またわがままを言って、聞いてもらったのか。


俺の意思は完璧に無視して。
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