君と見つける、恋の思い出


「瞳ちゃんに聞いたよ! 蓮くん、料理上手なんだってね!」



キッチンに立った瞬間のこの攻撃。


相手してられるか。



俺は叶花の言葉を聞き流しながら、適当に作っていく。



「蓮くんなんでも出来るんだねー」



カウンター越しにそんな声が飛んでくるが、無視。


いちいち答えていたら、いくら時間があっても完成しない。



「蓮くん、私部活入りたい」



すると、唐突にそんな言葉が投げられた。



「……本気で言ってるのか?」



無視をしようと決めたが、これは反応せずにはいられなかった。



いつ入院生活に戻るかわからない……


じゃなくて、無理をすれば戻るんだ。



たぶん、普通の学校生活がギリギリ。


それなのに、どうして部活なんてことを言い出すんだ。



本当に、自分のことがわかっているのか?



「文芸部に入ろうと思って!」



わかってなさそうに、元気よく続けられた。



……文芸部。


なにをする部活なのか、全くわからない。



「活動は週に一回、水曜日。やることは、文化祭と進級時期の二回、部誌を作製するだけ。ね? いいと思わない?」
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