冷たい幼なじみが好きなんです


「ん……」


目が覚めたときには、えらく体が重たかった。


今、何時……?


わたしはベッドからすぐそばのカバンに手を伸ばした。

手探りでカバンに触れる。

ケータイ、どこ入れたっけ……。


………ん………?


そのとき、働かない頭で違和感を覚えた。


あれ………?


カバンに触れる感触が、いつもと違ったんだ。


ここにはたしか、丸くてかたいものがあるはずなのに。


「……………ない」


起き上がり、カバンをベッドの上に持ってきて、手探りだけでなくちゃんと自分の目で確かめた。


カバンの外側のポケットに常にしまっていたあるもの。


………去年の誕生日に遥斗からもらったチャーム時計が、なくなっているのだ。


「うそ………」


信じられない思いで呟いた。


どこ?どこ?どこ?

急いで部屋を見渡すけれど、どこにも落ちていない。

部屋から出てフローリングと階段と玄関も見たけれど、あの時計の姿は見当たらない。


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