冷たい幼なじみが好きなんです
どこかに転げてしまうんじゃないかと思って空中で身構えていたけれど、わたしが着地したのは、柔らかい布団の上だった。
それと同時にだんだんと暗闇に目が慣れてきて……すぐ目の前に遥斗がいることに気がついて、思わず叫びそうになった。
だって……同じ布団の上にいるなんて、叫ぶしかない。
だけど、わたしの叫び声で遥斗のお父さんやお母さんがこの部屋に入ってきたらまずいので、叫ぶ直前でなんとかぐっとこらえた。
暗闇ながらも少しずつ視界が見えやすくなって、この部屋のカーテンの位置を把握したので、はやく自分の部屋に戻るために遥斗のせいでわたしが着地してしまったベッドからすぐさま下りようとするのに、遥斗がそれを阻止してくる。
「どこ行くんだよ」
そんな答えなんて分かりきっているようなことを聞いてくる遥斗。遥斗らしくない。
「どこって、自分の部屋に戻るに決まってるでしょ…」
自分が今どうして遥斗とふたりで遥斗のベッドにいるのかは本当に理解不能だ。
「寝るんじゃなかったのか」
「はあ…?」
もう今は自分をセーブするのはやめた。遥斗にうるさいって思われてもいい。こんなときに大人しくする必要なんてない。