冷たい幼なじみが好きなんです
「寝るって言ったけど、それは自分の部屋で寝るって意味で、なにをどう考えたら遥斗の部屋のベッドになるっていうの?わたしがいきなりそんな変なこと言うわけないでしょ!?」
「…よく一緒に寝てただろ」
わたしの訴えに遥斗は最もらしいことを返してきた。
「よく一緒に寝てたって……いったいいつの話ししてるの!?」
もううるさい口は止まらなくなってた。
「それって、幼稚園のころの話しだよね?わたしたち、もう高校生だよ!?遥斗ってば、ほんとにいきなりどうし──」
わたしたちは、もう高校生。
幼稚園のころは、わたしと遥斗は対して力の差がなかった気がする。
幼稚園のころは、あまり男女の差はなかった気がする。
だけど今は──。
遥斗はわたしの言葉を遮るように、いとも簡単にわたしの体をその場に押し倒した。
次の言葉が……出てこなくなった。
「もう高校生なら……こういうこと、したことあんのかよ」
遥斗の綺麗な顔が、すぐ目の前にある。
わたしはびっくりして思わず息を止めた。だけど続くわけがなく、ゆっくりと鼻で息をした。
なに………この状況。
おかしい。おかしすぎる。
遥斗の言動すべてが理解できない。
だけど、この理解不能な状況に、わたしの心臓はばくばくと暴れ始めた。
今考えればよくもまあこの場でペラペラとしゃべったと思う。