冷たい幼なじみが好きなんです
「え、大丈夫…っ!?」
一気に心配そうな面持ちをしてくれる優香。少しだけ罪悪感を感じる。
「保健室行ってこようかな…」
「そうだね。一緒に行くよ」
「ううん、大丈夫。行ってくるね…」
わたしは席から立ち上がり、「気を付けてね」と言ってくれる優香に「うん」と頷き、教室をあとにした。
教室から保健室へ向かうあいだに、優香ごめん!と心の中で何度も謝った。
お腹が痛いのなんて、うそだ。
元気だけが取り柄のわたしは、生まれてこのかた風邪すら引いたことがない。
英単語を覚えることよりも、遥斗のことが気になってしょうがない。
しんどそうにしていた遥斗はきっと保健室に向かったんだ。
廊下を走ると怒られるため、保健室まで急ぎ足で向かった。
ガラガラ…
保健室の前に着き、緊張しながらも扉をゆっくりと開けた。
保険医は見当たらず、三台あるベッドのなかで一番奥のカーテンがしまっていることに、心臓が小さく跳ねた。
あそこで遥斗が寝てるのかも……。
でもそんなの絶対じゃないし、まったくの別人だったらそれはそれでいい。
わたしは教室に帰るだけだ。
かといってもし遥斗だとして、それでわたしはどうするって言われたら、困るんだけど…。
もし遥斗だったら、ゆっくり眠っていたら、安心できる。それだけでいい。
わたしはとりあえず保健室独特の匂いがする中へと入った。