冷たい幼なじみが好きなんです


………遥斗の、ばか………。


どうしてそんなこと言うの……?


そんなうれしいこと、言わないでよ………。


わたしを見つめて、そんな声で言わないでよ。

まるで、愛おしむような優しい声で………。


………勘違い、しちゃうじゃん。


遥斗はわたしより風邪を引きやすくて、冬にはほぼ毎年インフルエンザにかかっていた。


わたしにうつるといけないからそのあいだ遥斗の部屋は立ち入り禁止されていたんだけど、遥斗がひとりで寂しく寝込んでいると思うと元気づけてあげたくて、学校が終わると超特急で遥斗の部屋に向かっていた。


元気づけるといってもいつもみたいにうるさくするとさすがに迷惑なのはわたしも分かっていたら、「はやく治りますように」って手を握ってあげていた。


そうすると、遥斗は嬉しそうに微笑んで、いつも安心したように眠りについていたんだ。


今日も………そばにいていいの?

こうして、手を握っていていいの………?


「遥斗……はやくよくなってね………そばにいるからね」


わたしはそっと呟いて、わたしの元気が届くように遥斗の手を両手できゅっと握りしめた………。

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