イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

「あ、安藤?」

どことなく急(せ)いているような安藤に声をかける。しかし返事はなく、私に覆いかぶさってきた彼に再び唇を塞がれてしまった。そうこうしている間に、安藤の手がシャツの下にもぐり込んでくる。

私と安藤はただの同期だったはず。それなのに、どうしてこんなことに?

「安藤、やめて」

強引なキスの合間に抵抗の声をあげても、安藤の動きは止まらない。彼の大きな手が私の胸を包み、そしてその指に力がこもった。

同居する前まで、私は同期の安藤のことが苦手だった。でも今は安藤のことが嫌いじゃない。

だからといって、このまま一線を越えていいとは思えないし、そもそも安藤が私を求める理由が謎だ。

「安藤、お願い。……やめて」

震える声で再び懇願すると、ようやく安藤の動きが止まった。

乱れた息に、まくれ上がったシャツ……。

まるで乱暴されたかのような私の姿を見て、ようやく我に返ったのだろう。

「ごめん……」

安藤は私に覆いかぶさっていた体を起こすとベッドから降り、床に座り込んだ。右ひざを立てて前髪をクシャリと掻き上げる安藤を横目に、上半身を起こして身なりを整える。

一昨日は髪の毛に触れられ、昨日は短いキスを交わした。そして今日はベッドに押し倒されて胸を……。

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