イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「それはこっちのセリフですっ!」
負けていられないと言い返せば、安藤がクスクスと笑い出した。
「いつもの穂香に戻ったな」
「もうっ!」
私をからかっておもしろがる安藤に対して、頬を膨らませる。
「そんなに怒るなって。あと少しで到着だからさ」
「えっ、そうなんだ」
「ああ」
再び歩き出した安藤の後を追う。すると彼の言う通り、あっという間に目的地に到着した。マンションに入ると安藤の案内で部屋に向かう。七〇七号室。ここが安藤の部屋らしい。
「どうぞ」
「おじゃまします」
玄関の鍵を開けてドアを支えてくれる安藤に挨拶すると、蓮くんとともに部屋に上がる。
「こっちが洗面所と風呂、こっちがトイレ。それから奥が寝室だから」
「うん。わかった」
ドアを開けて間取りを説明してくれる安藤にうなずく。
「そしてこっちがリビング」
廊下を進むと安藤がドアを開けた。フローリングのリビングにあるのは、ブラウン色のソファとローテーブル、そして大きなテレビ。窓際には背の高い観葉植物が置かれている。
白いタイル張りのマンションの外観もオシャレだったし、リビングも広々としている。
横浜駅から徒歩十五分のこんないい物件にひとり暮らしができるのは、営業成績が常にトップだから。同期といえども窓口係の私より、安藤の方がはるかに給料がいいはずだ。
素敵なマンションライフを過ごしている安藤をうらやましく思いながら、リビングを見回した。