お嬢様は恋をしません。
「…なんか、マドンナより、モテる子いるじゃん?」



「そんな子いたっけ?」



「…奏多、何も知らねぇのな」




時雨に呆れたようにそんなこと言われると、なんだかムッとする。



ちょっと腹立つなぁ。



時雨は少し考えるような素振りをすると、俺の顔を見た。




「…奏多より少し低めの、大人っぽい子?」



「わかんない」



時雨は諦めたのかはぁとため息をついて話を進めた。




「…まぁ、その子がこないだね?」



「うん」



「…俺に告白してきた。…からOKした」



「ふーん…ん?はっ!?」




時雨の顔を見ると俺から目線をそらして頬を赤らめている。



え、何?乙女?



ていうか、え。



今までめちゃくちゃ告られてたのにOKしたことなかったじゃん…。



「え、なんなの?好きだったの?」



「…うるさい」



時雨の頬の赤みは一向にひきそうにない。
< 37 / 139 >

この作品をシェア

pagetop