お嬢様は恋をしません。
どうすればいいんだろ…。



そうやって思いあぐねていると、時雨はふっと笑った。




「そんな、無理に言わなくていいよ。



そんなことでキレたりしない」




そう言って、薄く微笑む。




「うーん、ごめん。言いたくないわけじゃないんだけど…。



言っていいのかなぁって」



「…そか。…まぁ。いう気になったら教えて」



「はーい」




無口で、しかもイケメンの時雨が薄く笑って机に肘をついてあごをのせていると、なかなか様になる。



かっこいいわー。



俺が女の子だったら一発なんだろうけどなぁ。




まぁ?時雨は告白されても全員フってるみたいだけど。




「…それより奏多」



「ん?」



「えーっと…水野夏織。…知ってる?」




水野夏織…水野?夏織?




ダメだ、上の名前も下の名前もセットにしても聞いたことない。



「わかんない」
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