白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「お望みであれば、今から全部教えようか?」
意地悪な笑みで私を見下ろす男に、「結構です」と答えると、「なんだ。残念」と返された。
だけどその表情は少しも残念そうには見えなくて、むしろこの状況に満足しているようだった。
「椿社長はなんでもわかっちゃうんですね」
「なんでも、ではないと思うけど?」
「でも、大半のことは見抜かれている気がします」
そのせいでいつもいつも椿王子のペースに引きずり込まれてしまうの、悔しくないと言ったら嘘になる。
「俺に見抜かれるのが不満?」
「……不満って言うか、ずるいです。なんか悔しい」
慣れないベッドの上で顔を背けると、その両手が私の頬へと戻って来た。
「それなら、一つ教えてあげようか?」
「え?」
優しくキスを落とした唇が、優しい笑みを零す。
「いつも芙美が仕事の付き合いで男と会う度に気が気じゃないし、本当は今日も、芙美に会いたくて必死で仕事を終わらせてきた。つまり、どういう意味かわかるか?」
「あの、」
「お前に惚れ過ぎて、おかしくなりそう」
耳元で囁かれた。私の体内に注ぎ込むように。