白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「耳まで真っ赤」
「王子のせいだから」
「それも知ってる」
額から鼻先、唇と、甘くて優しいキスの嵐。
おかしくなっているのは、私の方だ。
「ねえ、王子」
「ん?」
「本当にここでするの?」
「……この状況で、それ聞く?」
そう言われてしまえばそうなのだけど、でもたぶん、この状況だからこそ思ってしまうの。
「ここじゃなくて、王子の部屋がいい」
「心配しなくても、帰ってからも抱くつもりだけど?」
「そうじゃなくて!」
「ん?」
やっぱりこの場所は椿王子には似合わなくて、何よりいつもと違うベッドは落ち着かなくて、こんな大切な気持ちの時だから、ちゃんとした場所で抱き合いたい。
「お仕置きは、王子のベッドの上がいい」
だけどそんな乙女心を上手く伝えられる自信もなくて、私はただ真っ直ぐに、ストレートに言葉にした。
それが予想外だったのか、驚いたように目を丸くした王子は、「すごい殺し文句だ」と言って笑った。
細められた目も緩む頬も、あなたを形作る全てが愛しい。